温暖化や人間活動などの影響によって、生物の絶滅リスクの拡大、生物分布の移動、治山・治水能力の低下など、地球環境変化はもはや避けられず、今世紀には生態系が激変すると懸念されています。地球環境変化に対して安定した社会を維持することは、生態系の機能とサービス(資源の供給、防疫、環境の安定、浄化・治水、物質循環、土壌形成、基礎生産など)を維持することに他なりません。

そのためには、従来の自然克服型の技術だけでは不十分です。生物や生態系が本来持っている不確実性を考慮する一方、生物システムや生態系が本来持つ頑健性や適応力を利用した対策が有効であり、そのほうがむしろ社会的コストも軽減できる可能性があります。このような、生物・生態系の適応力をいかした生態系管理を実現するための融合的新領域を「生態系適応科学」と呼び、その確立および普及が必要であると考えています。

     
 
 
     
 

東北大学は創立以来、日本の生態学に大きく貢献してきました。現在、生態学の分野において、国際的に活躍するスタッフを多数擁する日本における中心的な拠点となっています。「生態系適応科学」の体系化には、これら生態学の分野の他、環境遺伝学、免疫学などの生物学の分野を基盤に、環境工学、農学、薬学、環境経済学、環境社会学などの分野が融合し、協力していく必要があります。

環境問題がますます大きな社会的課題になってきた現在、その解決の一端を担う、生態系の研究は不可欠のテーマとなり、人材の育成も社会的ニーズになってきています。そうした社会的課題に応えるために生態環境問題に関わる様々な社会活動の実践者とともに、共同研究、人材育成、社会とのコミュニケーションに全力で取り組むことが私たちの使命です。
この理念に基づき、
東北大学大学院生命科学研究科では『激変する生態系への適応に向けた教育研究』プランを作成し、文部科学省より平成20年度の「生態適応グローバルCOE(GCOE)」として採択されました。本事業の対象期間は平成20年4月より25年3月までの5年間です。