東北大学生態適応グローバルCOE人工湿地実験施設とは?

◆ 無エネルギーで畜産排水を高度処理する実験施設

 東北大学生態適応グローバルCOEは、世界各国で異なる人工湿地による水質浄化技術を一同に集めた人工湿地実験施設を2009年9月に設置しました。本人工湿地では、川渡野外実験フィールドセンターにおいて毎日2トン弱発生する30頭の乳牛由来の汚水を、自然の湿地における原理をもとに水質浄化機能を人工的に強化することで、無エネルギーで高度に浄化処理する実証実験を行っています。

 低エネルギー、省メンテナンス、低コストかつ自然な景観と環境を提供するユニークな排水処理施設として、欧米を中心に普及している人工湿地ですが、わが国では北海道にわずか数例が存在するだけという状況です。主に面積がネックとなってわが国では普及に至っておりませんが、地方の過疎化が懸念されるわが国の現状と地球温暖化の緩和のためにあらゆる分野で低炭素化技術の導入が迫られている現状を鑑みると、近い将来わが国でも重要な汚水処理技術として人工湿地が位置付けられていてもおかしくありません。

◆ 実用スケールで様々な水質浄化条件を検証

 欧米を中心に普及している人工湿地ですが、採用されている規格や運転手法は各国で異なっています。これは気候条件をはじめ様々な地域性が影響する人工湿地の特性のためですが、実例が乏しい我が国における導入を阻む要因になっています。

 そこで本COEでは、大学という立場を生かし、世界各国で異なる人工湿地の規格や運転手法を一同に集め、我が国の地域条件のもとでそれらを検証し、その「良いとこ取り」をしようという発想で、本人工湿地実験施設を設置しました。このような実用スケールで様々な水質浄化条件を検証できる人工湿地は、世界でも例がありません。

◆ 環境問題解決への貢献も期待されています

 汚水を流入させるのに必要な最低限のエネルギーがあれば、好気処理・嫌気処理・汚泥減容化処理のすべてを賄うシステムを人工湿地だけで構築できるため、太陽光発電や風力発電等の併設により、エネルギー自立型の汚水処理が可能となります。

 地球温暖化緩和のためにあらゆる分野において低炭素化技術の導入が必要とされており、本実験施設で実施する4年間の実証実験は、地方における次世代の小規模分散型排水処理施設としての人工湿地の有用性をアピールするものとなります。

 このように無エネルギーで高度な水質浄化が行える人工湿地は、電力供給が十分でない山岳地域や開発途上国の環境問題解決にも貢献が期待されています。