第10回生態適応セミナー

 

 

小野田雄介博士

Macquarie University, Sydney, Australia

 
     
 
葉の力学的構造、そして強度の世界的傾向
 
     
 

日時 3月13日 16:00-

 
  場所 生物地学共通講義室 (青葉山キャンパス理学部生物棟)  

葉の力学は自身の構造を支えるだけでなく、植物-動物間の相互作用、葉の寿命、落葉 の分解速度などと密接に関わる重要な特性である。本セミナーでは、葉の力学につい て、2つの話題を提供したい。 (1)葉と飛行機の翼の意外な共通点 葉は一般に薄く平な構造をしており、光を効率よく受けるのに適している。しかし、 そのような構造は重力や風の影響を強く受け、力学的には弱いように見える。解剖学 的には、葉身は薄く硬い表皮と柔らかく比較的厚い葉肉組織の2つに大別することが できる。このような構造はサンドイッチ構造と呼ばれ、軽量かつ高い曲げ剛性を可能 にする(例、飛行機の翼)。 私たちは工学的な理論を葉の構造に応用し、各組織の剛 性を分離せずに測定する新しい方法を開発した。これにより、葉身の剛性のほとんど は表皮によって決定され、葉は理想的なサンドイッチ構造であることが分かった。つ まり、この構造により、葉は限られたバイオマスで高い曲げ剛性を達成し、広い平面 を維持できることが示された。 (2)葉の強度の世界的傾向 これまで葉の力学研究は地域レベルで行われており、世界的にどの程度の変異がある か分かっていなかった。私たちは葉の力学プロジェクトを発足させ、 世界中から約 2000種ほどの葉の力学データを集め、統一した基準で解析した。その結果、葉の強度 には500倍を超える変異が存在することが明らかになった。これらの変異の一部は降水 量の違いで説明できるが、多くの変異は共存する種の間に存在した。また葉の強度は 葉の厚さ、比重に強く依存し、葉の寿命とも密接に関わることが分かった。本セミ ナーでは、今後の展望についてもお話したい。