第13回生態適応セミナー

 

 

Dr. Gladys I. Cassab

Universidad Nacional Auto´noma de Mexico

 
     
 
シロイヌナズナの根系形成を制御する水分屈性
 
     
 

日時 4月13日 16:00-

 
  場所 片平キャンパス・生命科学研究科本館3階会議室  

高水分側への根の成長反応は水分屈性として知られる。根系(大きさ、分枝の 程度、側根の分布など)はいろいろなストレス環境に可塑的に適応すると考えら れているが、水分勾配が根系形成を制御するしくみはわかっていない。私たちの 研究室では、水分屈性突然変異体を単離するために浸透圧勾配法による実験系を つくった。それによって、これまで水分屈性の亢進された突然変異体 (suh1)と 水分屈性を欠損した突然変異体 (nhr1)を単離した。suh1は主根をより高水分側 に伸長させて大きな根系を発達させ、それがアブシジン酸 (ABA) の処理によっ て促進された。このsuh1の表現型は水分勾配の存在しない場合、水ストレス条件 下でも見られなかった。それでも、suh1の根の伸長と分枝は水を十分に与えた条 件の野生型のものとは違っていた。suh1の根の水分屈性の亢進は、水源を根の先 端に対して45度のアングルにおいた実験系でも確認された。すなわち、この条件 で垂直におかれたsuh1の根は水源側に14日間約30度屈曲し続け、重力よりも水分 勾配により反応することが示された。これらのsuh1の解析結果は、水分屈性に ABAが関与し、それが根系形成に影響することを示すものである。一方、nhr1の 水分屈性がABA生合成阻害剤のabamineSGの処理によってある程度回復された。 これら突然変異体を用いた解析結果は、ABAが水分屈性をネガティブに制御して いること、さらに、水分屈性の欠損が乾燥耐性をもたらすことを示唆している。