第17回生態適応セミナー

 

 

Hayato YOKOI 博士

Postlethwait Lab, Institute of Neuroscience, University of Oregon

 
     
 
硬骨魚類におけるゲノム倍加と種特異的多様化
 
     
 

日時 6月1日 16:00-

 
  場所 理学部生物棟1F 大会議室  

メダカやゼブラフィッシュ等の小型魚類は、脊椎動物のモデルとして広く使わ れているが、進化多様性を理解する系としても面白い側面を持っている。硬骨魚 類では、四肢動物に至る系統と分岐した後、さらにゲノム倍加(R3)が起こっ たことが強く示唆されている。ゲノム倍加によって各遺伝子は自身のコピー (バックアップ)を獲得し、進化的制約が緩まったと考えられる。倍加して生じ た2コピーの内、ある場合には一方が元の機能を継承して他方が偽遺伝子になっ たり(non-functionalization)、新たな機能を獲得したり(neo- functionalization)、またある場合には、倍加した二つの遺伝子で元の機能を 分配する(subfunctionalization)モデルが提唱されている。 転写因子Sox9は、倍加した二つのco-orthologであるsox9aとsox9bが残り、発 生過程において異なった発現パラーンを示すことが知られている。ゼブラフィッ シュのsox9a/sox9b変異体を用いた発現プロファイル解析から、Sox9の軟骨およ び網膜における機能が脊椎動物の間で保存されていることが示された。軟骨にお ける機能はゼブラフィッシュではsox9aとsox9bの両者に分配され、一方で、網膜 における機能はsox9bが主に担っており、個々の機能が独立に分配されているこ とが示唆された。 二つ目のトピックとして、ゲノム倍加後の遺伝子喪失についてAldh1aファミ リーを例に紹介する。このようなゲノム倍加後の再編やその他の変異は種分化と 並行して起こり、それぞれの系統に独立に蓄積される。複数の生物を用いた比較 研究から見えてくる生物の多様性についても議論したい。

参考文献:Nat Rev Genet. 8, 932-942 (2007)