第19回生態適応セミナー

 

 

池田佳久博士

Guest Researcher, Umea Plant Science Centre (UPSC), Department of PlantPhysiology, Umea University

 
     
 
シロイヌナズナ根毛形成部位における平面極性機構
 
     
 

日時 7月13日 15:00〜

 
  場所 生命科学研究科本館(片平)3階会議室  

多細胞生物は、平面極性(Planar Polarity)と呼ばれる平面内の軸に従った細胞 極性を協調させている1,2。我々は、シロイヌナズナの根毛細胞をモデルにし て、根毛部位決定における植物に特徴的な平面極性機構について研究をすすめて いる3。 根毛は、根毛細胞(トリコブラスト)の基底部付近(わずかな隙間が生じ る)から発達し、根毛形成部位決定に認められる細胞極性は、根端部でのオーキ シン濃度勾配に配向している。オーキシン濃度勾配は、根端部でのオーキシン生 合成を伴わずにシンク組織由来で形成され、オーキシンエフラックスキャリアー によって濃度勾配が決定される事がコンピューターモデルによって提示されてい る4,5。今回我々は、根毛細胞の最基底部から根毛を形成するビートニック (beatnik) 劣勢変異体を単離解析した。ビートニックは、Raf様プロテインキ ナーゼであるCONSTITUTIVE TRIPLE RESPONSE1 (CTR1)遺伝子をコードし、 dosage依存的にオーキシン生合成を抑制する。オーキシン濃度勾配は、根毛部位 決定時の平面極性を調節する。オーキシン生合成能、あるいはその濃度勾配を測 定する事で、オーキシン生合成、及びトランスポート多重変異体を解析した。我 々の結果は、オーキシンインフラックスとエフラックスキャリアーを介した、根 端からのオーキシン再分配により平面極性が配向されている事を明らかにした 6。よって、 根端部での局地的なオーキシン生合成が制御される事でオーキシン 濃度ホメオスタシスが保たれ、広範囲にわたる根毛細胞の細胞形態形成が調和さ れる。

関連論文

1.Zallen, J.A. (2007) Cell 129, 1501-1063

2.Adler, P.N. (2002) Dev. Cell 2, 525-535

3.Grebe, M. (2004) Bioessays 26, 719-729

4.Friml, J. et al. (2002) Cell 108, 661-673

5.Grieneisen, V.A. et al. (2007) Nature 449, 1008-1013

6.Ikeda Y et al. (2009) Nat Cell Biol 11, 731-738.