第50回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
  日時:11月25日(木曜日)13:30から  
  場所:青葉山キャンパス 理学総合棟2階204  
     

講師:日引 聡 博士(国立環境研究所)

     
  生物多様性と環境経済学  
     
 

生物資源および生物多様性は、経済活動に影響を及ぼすだけでなく、経済活動からも影響を受けている。生物多様性及び生物資源と経済活動の関係を整理すると、以下のように分類される。

(1) 生物資源を生産要素として利用する側面(生物資源と医薬品の開発・生産、品種改良)
(2) 生物資源や生態系が経済活動・社会に与える影響(外部便益)の側面(森林の水資源の涵養機能の評価、森林の環境保全・防災機能の評価)
(3) 経済活動(環境汚染)が生物資源や生態系に及ぼす影響(外部費用)の側面(水質汚濁による生物の被害)  

 (1)については、資源の過剰利用や資源を生み出す生態系の破壊(あるいは、不適切管理)の問題と関連している。(2)については、社会的に利益のある資源や生態系の減少の問題と関連しており、(3)については、社会的に不利益をもたらす汚染物質の過大な排出の問題と関連している。
 これらの問題を解決するためには、(1)資源の過剰利用を抑制したり、民間による生態系の適切な管理のインセンティブを高める方策を考えること、(2)社会的に望ましい生産活動のインセンティブを高めること、(3)汚染を削減するようなインセンティブを与えるとともに、そのための研究開発を促進することにある 。
 環境経済学の観点からは、(1)については、資源の私的所有権の設定や所有権の保護(違法な資源採取の禁止)、(2)については、補助金による外部便益の内部化、(3)については、環境税による外部費用の内部化が、問題解決の重要なカギとなると考えられる。 セミナーでは、それぞれの問題を生み出す経済的メカニズムがどういうものか、それを適切な方向に誘導するために、どのような政策を考えるべきかを議論する。