第52回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
  日時:3月16日 5月11日(水曜日)13:30 – 15:00  
  場所:東北大学青葉山キャンパス 生物地学共通講義室 理学総合棟205号室
 
     

講師:木村幹子(生態適応GCOEフェロー)

     
  生物多様性に配慮した持続可能な土地利用へ向けて
:企業保有地を対象とした土地利用評価ツールの開発
 
     
 

都市域では、自然公園や社寺林などに貴重な自然が残されているが、それらは縮小化、分断化が進み、生物個体群を持続的に維持するのが難しくなっている。都市域に点在し、概して大きな敷地面積を持っている企業保有地は、これらの貴重な生息地間を有機的につなぎ、地域全体として生物多様性を保全していく上で、大きな役割を果たすと考えられる。生物多様性に配慮した土地利用は、劣化が進んでいる都市の生態系サービスの持続的な利用にもつながる。
 企業保有地の土地利用においては、都市緑地法や工場立地法等の規制により緑地の量は確保されつつあるが、質的側面、特に生物多様性面の評価や検証はほとんどなされず、生物多様性への貢献の視点は不十分であった。ところが、CBD-COP10開催を契機として、緑地という資源を活用して生物多様性に貢献したいという意識が企業の間に急速に高まっている。そこで企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)※では、東北大学生態適応GCOEとの共同で、企業保有地を対象とした生物多様性配慮型土地利用を促進するためのツールを開発した。
 中心となるツールは、企業の土地利用の適性度を生物多様性の観点から評価する「土地利用通信簿TM」である。また、生物多様性に貢献する持続的な土地利用とは何か、あるいはどうすることが生物多様性の向上につながるかなどを解説した「生物多様性配慮型土地利用ガイドライン」、さらには、成果を把握するための生物調査手法も開発した。そして、それらはいずれも社員参加型で使える簡便で実践的なツールとすることを目指した。
 セミナーでは、取り組みの背景や評価項目の詳細について解説し、評価の科学的妥当性や期待される成果などについて議論する。

※企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB):生物多様性の保全と持続可能な利用を目指して積極的に行動する企業の集まりであり、2008年4月に発足した。