第54回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
 

日時:5月25日(水曜日)15:30 –

 
  場所:東北大学青葉山キャンパス 生物地学共通講義室
http://www.sci.tohoku.ac.jp/ja/third/campusmap03.html
 
     

講師:長太伸章博士(生態適応GCOE助教)

     
  遺伝浸透と生殖隔離機構 -オオオサムシ亜属の例-  
     
 

生物多様性がどのように生じ、維持されているかを明らかにすることは生物学上の大きな課題の一つである。日本固有のオサムシ科甲虫であるオオオサムシ亜属は、15種以上の種が記載された国内で多様化した分類群である。本亜属は後翅が退化しており歩行によってのみ分散し、さらに雌雄の交尾器形態のマッチングの不適によって生殖隔離が生じる「機械的生殖隔離機構」が見られるという特徴がある。しかし、いくつかの種では交雑帯や種間雑種なども見られるなど完全な生殖隔離を備えているわけではない。ミトコンドリアDNA (mtDNA) を用いた分子系統解析の先行研究からも、種間では遺伝子浸透が生じていることが示されている。ではこの生殖隔離機構はどの程度機能しており、いつ生じたのであろうか。  今回のセミナーでは、まずmtDNAを用いた網羅的な解析から、本亜属の種間で同所的・側所的に生じている大規模な遺伝子浸透の実態を紹介する。次に、機械的隔離機構が遺伝子浸透を妨げる要因として実際に機能していることを紹介する。最後に亜種間で大きな形態分化が見られる種を用いて分化時期と地域を推定した研究を紹介し、さらに分布域の変動と多様化の関連について考察したい。