第56回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
 

日時:6月22日(水曜日)15:30 –

 
  場所:東北大学青葉山キャンパス 生物地学共通講義室
http://www.sci.tohoku.ac.jp/ja/campus/map/index.html
 
     

講師:大手学博士(生態適応GCOE助教)

     
  共生者と宿主の対立と克服の分子メカニズム  
     
 

 生物が体内に別の生物を取り込む「共生」は非常に多くの生物で観察される。シロアリの腸内にはセルロースを分解する原生生物が棲み、アブラムシには必須アミノ酸を合成できる細菌ブフネラが細胞内に感染している。このような宿主と共生者の共存関係は共生者の侵入当初から成り立っていたわけではなく、長い時間をかけ対立を克服するようお互いが進化した結果築きあげられたものであると考えられる。本セミナーでは、この宿主と共生者の対立と克服の分子メカニズムに関して、モデル生物のキイロショウジョウバエとその共生細菌Wolbachiaを用いた研究から得られた知見を紹介する。Wolbachiaは節足動物の60%にも感染していると言われる細胞内共生細菌で、「地球上で最も成功した共生者」とも呼ばれる。Wolbachiaは雌の生殖細胞に感染し次世代へと経卵伝播するが、頻繁に異種間で水平伝播し感染を拡大してきた。この確実な垂直伝播と広範な水平伝播に関わると思われるWolbachia遺伝子の解析から見えてきた、共生者と宿主の対立とその克服戦略について考察させて頂きます。