第63回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
 

日時:12月2日(金曜日)16:00 –

 
  場所:青葉山キャンパス 理学合同棟第3講義室205  
     

講師:土居秀幸 博士(広島大学サステナブル・ディベロップメント実践研究センター)

     
  フェノロジーと食物網から環境激変への生物の応答を考える  
     
 

  現在問題となっているさまざまな環境激変の中で,本講演では地球温暖化による気候変動と原発事故による放射性物質の拡散についてとりあげる。それらの要因が,どのように生物に影響を与え,生物がどのような応答を示しているかについて最新の研究例を紹介する。地球温暖化による気候変動については,気候変動と植物・動物フェノロジーの応答について解説する。気象庁の生物季節データセットを用いた解析により明らかとなった,日本全国における植物・動物フェノロジーの変化,また遺伝的多様性が植物のフェノロジー応答の個体差に及ぼす影響について紹介する。さらに,数理モデルを用いて検証したフェノロジーのマッチ・ミスマッチによる群集動態への影響に関する研究も紹介する。また,原発事故による放射性物質の拡散に関連して,魚類体内での放射性セシウムの蓄積・減衰のプロセスが,各種の生態学的・生物学的な特性(栄養ポジション,生息場所,代謝など)によってどのように予測できるかを検討した。これまで調査されてきた文献情報(主にチェルノブイリ原発事故後の長期モニタリング調査)から収集した250以上の長期モニタリングデータより,魚類体内で放射性セシウム濃度が最大になる時期や濃度の減衰速度は,その種の栄養ポジション,代謝,そして水温によって強く規定されていることについて紹介する。