第64回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
 

日時:12月9日(金曜日)15:30 –

 
  場所:青葉山キャンパス 理学合同棟第3講義室205  
     

講師:岩渕翼博士(東北大学生態適応グローバルCOE)

     
  消費型競争と餌の化学量:ミジンコを用いた実験的解析  
     
 

  資源をめぐる消費型競争は、生態系の構造を決定する重要な要素の一つと考えられている。Tilmanの資源競争の理論によれば、資源の最低要求量(R*)が低い種の方が競争に有利であるとされている。2つの資源をめぐる競争では、供給量・バランスと消費ベクトルの組み合わせから、どちらの資源の最低要求量が競争の決定要因になるかが変わる。このことは、藻類や大型植物、細菌類などで数多くの研究で検証されており、生態学において最も広く受け入れられている理論の一つである。それにもかかわらず、動物ではこれまでほとんど確かめられていない。そこで本研究では、ミジンコを用いてこの理論が動物でも見られるかどうか確かめることにした。ミジンコの主な餌である植物プランクトンは、光と栄養塩の供給量とその比によって、細胞内の元素比(たとえばC:P比)が大きく変化することが知られている。したがって、植物プランクトンの元素比によって、ミジンコの成長は制限する元素が変わってくる。もしCの最低要求量とPの最低要求量が種間で異なっていれば、植物プランクトンの元素比によって競争の優劣が変化するはずである。そこで個体レベル、および群集レベルでCおよびPの最低要求量を調べたところ、種の序列はCとPでは異なっており、植物プランクトンの元素比が変化すれば競争の結果も変化することが予想された。競争実験の結果はすべて予想を裏付けており、Tilmanの競争理論が動物でも適用できることを支持する成果を得ることができた。