第75回生態適応セミナー (Bセミナー)

     
 

日時:11月7日(水曜日)15:00 –

 
  場所:青葉山キャンパス 生物・地学共通講義室  
     

東樹 宏和 博士(京都大学・地球環境学堂)

     
  生物間相互作用の巨大ネットワークを読み解く  
     
 

一人の研究者が野外観察を通じて把握できる生物群集の複雑さには限界がある。 しかし、近年導入されつつある各種の先端技術によって、生態学者が手にできる データの種類が多様化し、分量も指数関数的に増大してきている。講演者が現在 進めている植物と真菌の相互作用ネットワークに関する研究プロジェクトを例 に、次世代シーケンシングを始めとする技術が生態学に今後もたらす変革につい て議論したい。

 
     
     

田辺 晶史 博士(京都大学・地球環境学堂)

     
  塩基配列と生物種名の深い谷: 新規準とアルゴリズムで橋を架ける  
     
 

「DNAバーコーディング」という言葉が作られてから長い時間が経っているが、それを実現するに当たって不足しているものがいくつかある。その代表的なものが、得られた塩基配列からその塩基配列を持っていた生物種名を推定する手法である。演者がメタゲノムデータのDNAバーコーディングの研究を始めた頃、既にDNAバーコーディングは様々な研究に応用されていたことから、当然そのようなものはあると考えていたが、残念ながら十分に実用に堪える方法は見付からなかった。そこで演者は、「最近接配列が所属している分類群で、問い合わせ配列と最近接配列の類似度が分類群内の類似度の最小値よりも大きくなる階級を対象生物の所属分類群とする」ことを現実的な規準と考え、これを満たす結果を得られるアルゴリズムを開発・実装した。さらに、この方法を幅広い分類群の種名既知の塩基配列を用いて既存の方法と比較した。その結果、新しい方法の優位性とDNAバーコーディングの実現に向けた課題が明らかになった。