第80回生態適応セミナー (Aセミナー)

     
 

日時:12月4日(火曜日)15:00 –

 
  場所:農学部講義棟1階、第10講義室  
     

上 真一 博士(広島大学大学院生物圏科学研究科 教授)

     
  クラゲ大発生:人為的環境改変による海の終着点か?  
     
 

 クラゲ類の大発生はグローバルな現象です。日本周辺海域ではミズクラゲやエチゼンクラゲが大発生しています。エチゼンクラゲは、傘の直径2 m、体重200 kgにもなる化け物クラゲです。このクラゲの大発生は20世紀では約40年に一度の珍事でしたが、今世紀になるとほぼ毎年のように起こるようになりました。2005年度の大発生による沿岸漁業の被害総数は10万件以上、被害金額は約300億円と推定されています。エチゼンクラゲの発生海域は、急激な環境変化の起こっている中国沿岸域です。日本と中国の間を往来するフェリーを利用したクラゲ目視調査から、大発生の早期予報が可能となりました。それにより漁業者はクラゲの来襲に備えて対策することが可能となっています。  海が毎年のようにクラゲだらけになるとは誰も思ってもいませんでした。海はまだ多くの不思議に溢れています。それらを発見し、科学することの興味は尽きませんが、海に及ぼす人間活動の影響が心配です。頻発するクラゲ大発生は、人間が環境を改変させたことによる海の終着点を暗示しているのでしょうか。