国際フィールド実習(中国)2010.09.15-09.22

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【日  時】2010年9月15日(水)〜22日(水)
【場  所】中華人民共和国(宜昌〜西安〜南京〜無錫〜上海)
【対  象】PEMプログラム受講対象者のうち希望者
【担当教員】工学研究科 西村 修 教授 ほか
 東北大学生態適応グローバルCOE(GCOE)は、「生態適応人材(Professional Ecosystem Manager:PEM)」プログラムの実践科目として、9月15日(水)から22日(木)までの7日間、中国にて国際フィールド実習を行い、博士課程後期学生ら11名が参加しました。PEMとは、生態学や環境学に関する高い専門性を持ち、実社会で環境問題に対応し解決していく人材の育成を目的に、本GCOEが新設した資格です。
 今年度の国際フィールド実習は、工学研究科の西村修教授がコーディネーター役を務め、中国の「水」環境に焦点を当てた実習が行われました。西村教授は「環境激変の今、課題に対する解決方法を誰も持っていない。しかしながら、論理性は磨くことができる。水に関する問題が多発している現実を目の当たりにし、まずは現場で感じてもらいたい」と本実習の意図を話しています。次世代を担う学生らが、中国の現場で見て感じたこととは何か。本レポートにてご報告します。
(文責:大草 芳江)

1.世界最大の水力発電ダム「三峡ダム」周辺見学

 9月15日(水)早朝、一行は成田空港に集合し、上海市を経由して、湖北(こほく)省宜昌(ぎしょう)市へ向かいました。宜昌へ来た目的は、水資源と環境修復がご専門の重慶交通大学教授の楊清偉さんと面会し、長江中流域の三峡(重慶直轄市から湖北省宜昌市)にある世界最大級の「三峡ダム」を見学するためです。

 16日(木)は、楊さんの案内で、三峡ダム周辺を見学しました。まずは三峡ダムの歴史と役割について、楊さんからお話を伺いました。

 三峡ダムは1993年に着工、2009年に完成しましたが、構想は孫文が1919年に発表したとされています。現在も、発電ユニットや小さな船専用リフトなどを増設中で、2015年に100%完成する予定です。

 そもそもなぜダムはつくられたのでしょうか。三峡ダムの主な役割は、三つあります。一番の目的は、長江で頻発する洪水防止のため。二つ目は、水力発電のため。三峡ダムだけで、中国の年間消費エネルギーの約1割を賄う発電能力があります。三つ目は、船舶の運航のため。三峡ダムは、宜昌から重慶までの水運に大きな利便性をもたらすそうです。

【写真】展望台から眺めた三峡ダム。大型重力式コンクリートダムで、堤体の長さは約2キロメートル、高さは185メートル。通常水位は175メートル。

【写真】三峡ダムに付随して作られた船舶航行用の閘門(こうもん)。水面の高さを上下させ、落差のあるダム上流側・下流側の行き来を可能にする。

【写真】三峡ダムの貯水地には、1日30tにもなる大量のゴミが堆積していた(写真中央の陸地のような部分がゴミ)。中国政府は莫大なコストをかけてゴミを回収している。

【写真】楊さん(写真中央)に質問する学生ら(写真右)

 しかしながら、その一方で、水質汚染や生態系への悪影響など、ダム建設に伴う様々な問題も指摘されています。

 ダム建設に伴うマイナスの影響について、楊さんは、植物などの水没被害や土砂堆積、人為的な水位上昇による地すべり・がけ崩れ発生の危険性などを挙げていました。

 さらに、三峡ダムの貯水池は、宜昌市街の上流から重慶市街の下流まで約660kmにも渡ります。人為的な水位上昇によって増加した蒸発量は、降水量を増やすなどして、気候にも影響することが考えられるそうです。

 このほか、現地出身のガイドは、「三峡ダムは我が国の誇り。三峡ダムのおかげで安全になった。けれども三峡ダムの建設によって、報道はされないが地震が増えた。長江下流域の湖南省では、水質が悪化し水不足になった」と話していました。

 また、中国の代表的な生物で、長江に生息する回遊性大型魚類「カラチョウザメ」は、ダム建設によって回遊経路が遮断され、従来の産卵場までたどり着くことができなくなると同時に、生息環境の悪化によって個体数が激減したそうです。

 そこで一行は、カラチョウザメ保護のため宜昌に設けられた「カラチョウザメ研究所」も見学しました。カラチョウザメの人工繁殖と放流に力を入れる同研究所には、展示施設も併設されており、一般にも公開されていました。

【写真】カラチョウザメ研究所の外観

【写真】カラチョウザメ研究所の展示施設で説明を受ける学生ら。手前がチョウザメ

【写真】同研究所所長で三峡ダムに関する資料集『雄大な三峡ダムプロジェクト』著者に、三峡ダム建設前後の様子について話を聞く学生ら

【学生インタビュー①:三峡ダムを見学して】

 三峡ダム周辺見学後、学生らが率直に感じたことについて、インタビューしました。


◆ 環境への影響懸念 / 手塚あゆみさん(生命科学研究科)

 スケールの大きさを目の当たりにして、まずは「すごい」の一言。しかし、やはり環境への影響が気になる。例えば、ダム建設によって三つすべての河川が潰されてしまったが、生物の動きが完全に遮断されないよう、一つだけでも河川を残すなどの配慮があっても良かったのではないだろうか。
 また、三峡ダムのパンフレットには、野生生物の保護区をつくることで貴重な植物の水没を避けるなど、「対策は完璧だ」という書かれ方がされているが、ダム建設によって気候が変化すれば、その前提も崩れるかもしれない。
 大がかりな国家プロジェクトのため、なかなかデメリットを言えない政治的な背景もあるのかもしれない。ダム建設によって考えられるマイナスの影響が、一般市民に報道されているのかどうか気になる。

◆ ダム建設に反対できないと実感 / 坂本裕紀さん(生命科学研究科)

 現場を見る前までは、生態系へのダメージや住民の強制移住など、ダム建設の"罪"の側面を強く感じていた。しかしながらフラットな視点を心がけて現場を見てみると、中国ではダム建設による治水や利水など"功"の側面を強く感じた。中国政府の戦略的な宣伝のためなのかもしれないが、中国人が三峡ダムを誇りに思うのも理解できる。
 日本では「脱ダム宣言」などの動きがあるものの、中国はまだインフラ整備中の段階。これまで日本もさんざん環境を破壊しており、中国と日本のフェーズの違いを考えれば、そう簡単には反対できない問題だと感じた。

◆ 予め環境への影響を評価する必要あり / Hernando Bacosaさん(環境科学研究科)

 環境に対するマイナスの影響もあるが、水力発電の発電量も多く、二酸化炭素排出も少ないことを考えると、メリットの方が大きいと感じた。その一方で、祖国であるフィリピンの大型水力発電ダムでは、環境変化によって以前より乾季が長くなった影響で、水位が下がって発電できなくなる問題も起こった。ダム建設による環境への影響を予め評価することが大切だ。

◆ 理解できる反面、今後の影響を考えてしまう / 平瀬祥太郎さん(農学研究科)

 「すごいもんつくるなぁ」というのが、率直な感想。これだけの規模のダムをつくるのに、多くの人々が関わってきたのだなと感じた。自然環境への影響を考えてしまうが、これだけの人がいれば、洪水防止や電力供給などを目的とした国プロジェクトとして、あっても良いのではないかと、モチベーションは理解できる。
 しかしながらダム建設は、もとには戻らない不可逆的な活動。例えば、自分の専門分野から考えると、各地域にいる生物を人為的につなげた時、遺伝的に本来違うものが混じってしまう影響などが考えられる。これだけ大きなものをつくって、この先どのような影響があるのだろうと、やはり考えてしまう。

◆ 養殖と放流、遺伝的多様性への影響が心配 / 早坂瞬さん(農学研究科)

 カラチョウザメ研究所では、養殖した魚を放流していたが、環境への影響を考えると、養殖と放流は別々に考える必要があると思う。養殖の場合、病気になりにくいなどの特徴を親の形質に求めるため、遺伝的に偏りができる。そのため遺伝的多様性の低い養殖ものを放流することで、天然ものへの影響が考えられる。その辺りについて、中国の市民はどのように考えているのだろう。東南大学との学生らのディスカッションで、市民感覚を是非聞いてみたい。

◆ 同じ過ち繰り返さず発展できる方法議論したい / 木村幹子さん(生命科学研究科)

 日本は経済を優先し、環境を破壊してきた。中国が、日本と同じ過ちを繰り返す必要はない。中国に「発展するな」と言うのではなく、中国はこれから発展する強みを活かして、昔の日本と同じ道を辿らずに発展できる良い方法はないのか、若い世代同士で議論したい。

2.生態系の力を利用した水質改善システム見学

 三峡ダム周辺を見学した一行は、続いて、生態系の力を利用した水質改善システムを見学するため、宜昌から陝西省西安市へ向かいました。西安には、エネルギーを使わずに水質を改善する「人工湿地」の実験施設が市内各地にあり、大規模に実践が進んでいます。

 一行は、西安建築科技大学教授で用水と廃水処理がご専門の任(れん)勇翔さんと面会。17日(金)は、まず西安建築科技大学を訪問し、研究室を見学。その後「中国西北地方における水資源の現状と水質汚染対策」について、任さんによる講義を受けました。

【左写真】西安建築科技大学に到着
【右写真】西安建築科技大学教授の任勇翔さん

【写真】西安建築科技大学の研究室を訪問。研究内容について質問する学生(写真右)

【写真】任勇翔さんによる講演「中国西北地方における水資源の現状と水質汚染対策」
(写真の人物は、同学副学長で、国の大型プロジェクトリーダーを務める王暁昌さん)

 中国西北地方は水資源量が絶対的に不足しており、水質汚染も非常に深刻です。そのため水質汚染制御と水環境改善対策に、国も地方政府も力を尽くしているとのことでした。受講後、一行は任さんの案内で、水質汚染が深刻な西安の黄河二級支流を訪れました。

【写真】西安で水質汚染が深刻な黄河二級支流を見学する一行

【写真】川岸に下りていくと強力な悪臭が鼻を突いた。水の色は黒く油分が浮いていた。

 この川の汚水を人工的に創出した湿地に引き込み、湿地の生態系が持つ水質浄化機能を利用して、水質改善を図る実証実験を任さんは行っています。続いて一行は、川のすぐ隣に設置された人工湿地実験施設を、任さんの案内で見学しました。

【写真】川の汚水を引き込み、湿地の生態系が持つ水質浄化機能を利用して、水質改善を図る人工湿地実験施設。日本よりも大規模な検証実験が行われていた。

 湿地は、水、土、植物、および微生物によって構成されています。それぞれの構成物が持つ水質浄化機能や構成物同士の相互作用を利用し、人工的に湿地の浄化能力を高めたのが、人工湿地による水質改善法です。

 人工湿地による水質改善は、湿地の生態系が持つ水質浄化機能を利用するため、低エネルギー・低コスト・省メンテナンスなどのメリットがあります。欧米では、家庭の汚水を浄化する省エネ型の施設として、人工湿地の普及が進んでいるそうです。

 一方で日本においては、面積が必要であることなどから、ほとんど導入されていません。日本で人工湿地技術を研究している本学工学研究科准教授の中野和典さんによると、日本では北海道での数例と、中野さんが設計し本GCOEが昨年、川渡野外実験フィールドセンターに設置した例のみ、という状況とのことです。

【写真】人工湿地実験施設を見学する一行(手前が中野さん、後ろが学生)。人工湿地実験施設は、いくつかの区域に分けられており、様々な方法の組み合わせが検証されていた。

【写真】ろ材を用いた水質浄化方法について、任さん(写真手前の右から二人目)から説明を受ける一行。ろ材には使用済の石炭(廃材)が再利用されていた。

 続いて18日(土)は、西安市の下水処理場内に設置された人工湿地実験施設を見学しました。

【写真】西安市内の下水処理場内に設置された人工湿地実験施設を見学する一行

 任さんによると、西安市ではこのほか2つの下水処理場で、人工湿地実験施設を用いた下水処理を行っており、西安市全体の下水処理能78万トン/日のうち約1割弱を、人工湿地実験施設による下水処理が占めているそうです。

 下水処理に人工湿地を用いるメリットについて、任さんは「従来の活性汚泥法と比べて、コストが約6分の1になる」と話していました。

 ちなみに中国では1990年代から、雲南省において人工湿地を用いた下水処理が既に実用化されており、その下水処理能は20万トン/日にも及ぶそうです。

 本GCOEで人工湿地技術を研究している中野さんは、「人工湿地は、自然を相手にしているため、実際につくって初めてわかることが多い。日本の自然条件などに合った人工湿地の運用手法を研究する上で、中国のモデルで実際に起こった問題を教えてもらえることは、大変有意義だ」と感想を述べていました。

【学生インタビュー②:人工湿地を見学して】

 生態系の力を利用した水質改善システム見学後、学生らが率直に感じたことについて、インタビューしました。


◆ 中国も環境問題に本気で力を入れ始めている / 坂本裕紀さん(生命科学研究科)

 中国は環境問題に本気で力を入れ始めていると感じた。見学した川の臭さには驚いたが、そう言えば自分が小さな頃、近所に似たようなどぶ川があったことを思い出した。新しいものに慣れ、すっかりそのことを忘れて、ついつい上から目線になり中国を後進国扱いしていた。けれども、自然の力を利用した人工湿地など、中国は日本や欧米の後を追っているだけではないのだなと感じた。

◆ 人工湿地に可能性感じる / 荒井重行さん(工学研究科、三菱マテリアル株式会社)

 人工湿地による水処理の導入は広い敷地面積を取りやすい欧米で進んでいるが、日本での実施事例はまだ少なく認知度も低い。日本での普及を進めるには、機能を高めコンパクト化すると共に、原水の水量水質の変動や季節変化にかかわらず、処理水質の安定を確保する必要がある。さらには低コスト・低エネルギー・低メンテナンスでなければ、従来法との優位性が出せない。これらの課題をクリアするためには、まだまだ技術的な課題も多い。
 会社(三菱マテリアル株式会社)では、人工湿地を用いた鉱山廃水からの重金属除去をテーマに研究を行っている。現在、鉱山廃水処理には、機械動力設備を用いた化学的な方法で行っており多大な費用がかかっている。そこで、処理水質が良好かつ低コストで済む人工湿地システムの実用化へ向けての開発を進めて行きたいと考えている。

◆経済発展と環境のトレードオフ実感 / 高野成央さん(生命科学研究科)

 非常に面白い国で、料理も美味しい。けれどもあの汚い川には驚いた。それに中国がこれほど近代化しているとも思わなかった。どんどん新しいものをつくってお金を稼ぐ。その一方で貧富の差も激しい。
 かつての日本の姿なのだろうと思う。環境に対して良くないことはわかるが、経済発展の方法はつくって売ることしか知らないし、いろいろなものを犠牲にして今日の日本がある。上りきったところで、これから日本は環境に対してどうあるべきなのだろう。
 持続可能な開発とは、環境を大切にしながら、今の価値観を失わずに、より良い生活をしたい欲求を満たす、経済発展のこと。けれども、経済成長と環境はトレードオフの関係にあることを中国では目の当たりにし、難しいことを実感した。中国の今の価値観や現状を、我々が否定できないと思う。けれどもその上でどうすべきかを考えるのが、僕らのミッション。難しい問題だ。
 現場を見るとショッキングで、つい否定したくなるが、東南大学の学生らと建設的な議論をするためには、イエス・ノーの話ではなく、こちらの価値観を紹介するのが良いかもしれない。

◆ 中国人の市民感覚、気になる / 早坂瞬さん(農学研究科)

 中国の大学の7〜8割は国立大と聞いたが、見学した(国立大の)西安建築科技大学の研究設備は非常に整っており、国の大型プロジェクトも大規模に行われている。国も(環境問題に)無関心ではなく、大金をつぎ込み、かなり力を入れていると感じた。
 また人工湿地については、生物が持つ適応能力を組み合わせ、生態系を利用し、人間の経済発展と環境のバランスをとることができる、とても良い例だと思った。
 ただ、人工湿地を見学して一番気になったのは、あの川の水を使って農業をしている人たちの(環境に対する)市民の感覚。市民感覚が育たなければ、政府からの強いトップダンにも限界があると思う。
 研究が、政府と市民の間をどのようにつなぐかが自分たちのテーマ。感情論に陥り易い市民活動に、研究者が理論づける役割を担えたら良いと思う。けれども結局、市民の(環境に対する)感覚がなければはじまらない。明日、ディスカッションする東南大学の学生たちにも、市民感覚について是非聞きたい。

3.東南大学(南京)の学生たちとのディスカッション

 19日(日)に行われる東南大学(江蘇省南京市)の学生たちとのディスカッションに向け、学生らは今回の見学地である「太湖」と「三峡ダム」をテーマに二つのグループに分かれ、プレゼンテーションや議題の準備を進めてきました。ディスカッションを目前に控え、学生らは空き時間を利用し、ホテルやカフェで熱心に打合せを繰り返していました。

【写真】東南大学の学生らとのディスカッションに備えて熱心に打合せする学生ら

 そして18日(土)午後、一行は西安市を経ち、国内線で東南大学のある江蘇省南京市へ到着。同大学教授の李先寧さん(ご専門は水処理と水環境修復)と学生らと面会しました。その夜は歓迎会が開かれ、一行は江蘇料理に舌鼓を打ちながら、親睦を深めました。

【左写真】中国式乾杯。乾杯の文字通り、中国では基本的に全部飲み干すのが礼儀。
【右写真】江蘇料理。中央の魚はチョウザメ。

 その夜は同大学のゲストハウス「榴園賓館」に宿泊し、翌日の19日(日)は、朝から三つの講義を受けました。まずは南京市環境保護局副局長の包洪新さん、次に中国科学院南京地理及び湖沼研究所教授の劉正文さん、そして江蘇省環境科学研究院科技実業会社主任の鄒敏さんが、行政・研究者・企業のそれぞれ異なる立場から、環境に対する取組みについて講演しました。

【左写真】南京市環境保護局副局長の包洪新さんによる講演「南京市における環境保護対策」
【中央写真】中国科学院南京地理及び湖沼研究所教授の劉正文さんによる講演「富栄養化湖沼の生態修復」
【右写真】江蘇省環境科学研究院科技実業会社主任の鄒敏さんによる講演「江蘇省の環境産業について」

 講義後は、各大学の学生らによるプレゼンテーションが行われました。まずは東南大学の学生代表者5名が、それぞれ環境問題に対する考えや研究内容について発表しました。

【写真】東南大学の学生によるプレゼンテーションのようす

 続いて東北大学の学生らが、「太湖」と「三峡ダム」をテーマに2つのグループに分かれ、それぞれプレゼンテーションを行い、東南大学の学生らに問題提起を行いました。

【写真】東北大学の学生によるプレゼンテーション(「太湖」グループ)

【写真】東北大学の学生によるプレゼンテーション(「三峡ダム」グループ)

 発表後、「太湖」と「三峡ダム」をテーマに二つのグループに分かれ、東南大学の学生らとディスカッションを行いました。予定時間を大きく越えた活発な議論となりました。

【写真】東南大学の学生らとのディスカッションのようす(「太湖」グループ)

【写真】東南大学の学生らとのディスカッションのようす(「三峡ダム」グループ)

【ディスカッション概要①】「三峡ダム」グループ

<タイトル>
Three Gorges Dam and sustainable society


<発表者名>
坂本 裕紀、高野 成央、手塚あゆみ、尾﨑 洋史、木村 幹子
(※ 尾崎、木村の2名は体調不良のため発表は不参加、発表者の所属は生命科学研究科)

<要  旨>
 三峡ダムは、長江本流に作られた世界最大級のダムであり、発電、洪水防止、水運の3つの主要な機能を有している。三峡ダム水力発電所は、中国の電気エネルギー消費量の約1割を賄うほどの発電能力を有し、ダム上流の水位上昇により、上流の大都市重慶までの大型船の航行が可能となった。一方で、地震の誘発や水質悪化、生態系や生物への負の影響の問題も指摘されている。私たちは、実際に三峡ダムを見学し、見学後に東南大学の学生を交えて行った意見交換会を行った。まず、私たちが三峡ダムの見学を通して感じたダムのもたらす利益と損失について整理したあと、今後のダムを取り巻く発展のあり方について、発表者が自分たちの意見を発表した。その後、東南学生も交えて、三峡ダムの利益と損失に関して自由に意見を上げ、それらをPhysical, Social, Cultural, Ecologicalの4つにわけた。それぞれに対していくら払うことができるか、価値をお金に換算し、日本の学生と中国の学生の間に価値観の違いが見られるか確かめた。日中の学生の間には大きな差はなく、(低炭素)エネルギー開発や災害対策、生物多様性保護に対して価値を見出しているという傾向がみられた。

(文責:手塚あゆみ)

<プレゼンテーション>
発表スライド(添付資料1(PPTファイル))。

【ディスカッション概要②】「太湖」グループ

<タイトル>
国際フィールド実習 in 中国 太湖班レポート


<発表者名>
津田 真樹(生命科学研究科)、早坂 瞬(農学研究科)、李 尚龍(生命科学研究科)、 Hernando Bacosa(環境科学研究科)、荒井 重行(工学研究科、三菱マテリアル株式会社)、 平瀬 祥太朗(農学研究科)

<事前準備>
 河田研究室の手塚さんの提案により中国学生とのグループディスカッションでは、実習メンバーを2つにわけ今回の実習で訪問する三峡ダムと太湖の環境問題についてそれぞれプレゼンを行い、その後、中国学生とグループディスカッションを行い、最終的にポスターにまとめるという方針を決めた。
 我々太湖班では中国学生との議論のテーマとして「太湖の環境改善のために社会の様々なセクター(政府、企業、市民など)が何をするべきか」を設定した。理由は、湖沼環境は湖沼周辺の社会状況に大きく依存しており、環境改善のためには1つのセクターだけの取り組みだけでは不十分であり、各セクターが協力し合い統合的に取り組むことが必要である、と考えたためである。特に中国では市民の役割が十分に機能していないと考えられたので、事前打ち合わせの段階では市民活動に重点を起き発表すると決めた。そこで発表の流れとしては、はじめに太湖と同様の問題を抱える日本の湖沼(琵琶湖、霞ヶ浦)における環境問題の現況と対策を紹介し、次に太湖の環境状況をまとめ、最後に太湖周辺における市民活動の事例を紹介し中国における市民活動に関する障害は何かと問題提起し、グループディスカッションへ移るという段取りを決定した。ポスターには太湖周辺の各社会的セクターの果たすべき役割をまとめるという方針に決定した。
 段取りに基づき、琵琶湖(津田)、霞ヶ浦(早坂)、太湖(李、Hernand)、中国市民活動(荒井、平瀬)と役割分担し、出発までに下調べとスライド作成を行い、各スライドの統合は現地にて実習中の空き時間を利用して行うと決定した。

<プレゼンテーション>
発表スライド(添付資料2(PDFファイル) )。発表時間は30分程。各メンバーが自分の担当分を交代で発表する形をとった。

1.琵琶湖と霞ヶ浦の状況

 60年代からの経済発展とともに工業化と人口増加生活スタイルの変化により琵琶湖の環境は悪化し、排水による有害物質や富栄養化が問題となった。72年の赤潮の発生を契機に滋賀県では地方自治体と市民が協力し基礎データの収集や環境改善の取り組みが行われてきた。排水規制や下水道や無リン合成洗剤の普及により事業所・家庭など(いわゆる点源)からの汚染物質の排出は減少した。しかし、琵琶湖の水質改善はわずかであった。これは農地や市街地など(いわゆる面源)からの汚濁物質は減少していないことが主な原因である。一方、洪水や水利用のために水門や湖岸堤が建設された結果、湖岸生態系は大きく損なわれた状況は改善されていない。
 琵琶湖と同様に霞ヶ浦でも経済発展とともに富栄養化と湖岸生態系劣化が進行した。特に霞ヶ浦では浅い水深や湖岸生態系劣化による自然浄化能力の低下が問題になっている。市民活動によるヨシ原の再生や環境教育などが行われている。行政も底泥の除去や水門の制御などの対策行っている。しかし、効果は不十分であり、やはり環境は改善されていない。

2.太湖の状況

 太湖でも近年、極端な富栄養化が進み大規模なアオコが発生している。アオコのため生活工業用水としての利用が困難となる事態を受け、行政も水質改善への取り組みを強化している。しかし、下水道が普及は十分ではなく、汚濁物質の排出の半分以上は農地など制御が難しい部分からである。水質が悪い状況は改善されていない。

3.中国での市民活動

 太湖周辺でもNGOなどが活動している。太湖周辺での汚染物質の分布地図や汚染物質を排出している企業の情報などをインターネット上にまとめているサイトを紹介した。

4.湖沼環境改善のための社会的取り組み

 琵琶湖、霞ヶ浦、太湖がおかれた状況は類似していることがわかった。湖沼環境改善のためには周辺社会のあらゆるセクターの取り組みが必要であり、さらにそれらは協調的におこなわれる必要がある。特に市民は潜在的に大きな力を持っているが、その能力は十分には発揮されていない。科学者など教育セクターは市民がその能力を発揮することを支援することが重要。

<グループディスカッション>
 グループディスカッションでは、いくつかの問いかけをしながら、ポスターにまとめてゆく作業を進めた。5センチ角の付箋紙を各人に渡し、それを大きな模造紙に貼付けながらアイディアを練り、最終的にポスター(図1)を作成した。

  1. まず最初に、各人が湖の環境改善において最も重要だと考えるステークホルダー(利害関係者)は何かを、その理由とともに付箋紙に書き込んでもらった。付箋紙を集めて、類似したもの同士をまとめて模造紙に貼付けた。その結果、大きく「政府」「市民」「企業」「農漁業)」「教育」の5つのセクターがあげられた。それらの中から1枚づづ選び、なぜそれが重要であると考えたのか書いた人に説明してもらった。
  2. 5つのステークホルダーを選んだ人たちでグループを作ってもらい、その中でそのステークホルダーは湖の環境改善の為に何をするべきかまとめてもらった。
    政府:制度を作る、制度が適切に実施されるように運営する
    教育:新しいデータを収集する、環境問題に対する社会的関心を喚起する、理想的状態を提示する。
    市民:ゴミ・無駄な水や食物の排出を減らす。食べ残しなどを肥料などで再利用する。湖に流入する川の流域ごとにコミュニティを形成し河川環境の改善に努める。環境に関する知識を増やす。環境破壊が起きていないか監視する。
    企業:汚染物質の排出を減らす
    農業:農家が集まり組織的に活動を行う。農薬や化学肥料の使用を減らした農作物を育てる。有機農法などにはコストがかかるなど各農家だけでの取り組みには限界があるため社会的サポートを求めている。
  3. 最後に各人に対して、あなたは太湖の環境改善のために何ができますか?というといいに対する答えを付箋紙に書いてもらった(図2)。
    津田:I will, as evolutionary biologist, bring the wonder of nature to people in order to make people realize the preciousness of nature.
    早坂:More knowledge about environmental problems and counter measures, because I know that a little.
    荒井:I want to contribute to improvement of water pollution from my research in treatment wetland.
    李:Studying my field, phylogeographical analysis of plants, and giving the residents necessary information for the very important plant species.
    平瀬:I like fishes vary much. So I want to introduce many kind of fishes in lake Taihu to many people, and call for the importance of preservation of lake Taihu which is habitat of these beautiful fishes. Hernand:Introduce the results of my research. Share success stories of lake management in other areas. Sharing with Chinese friends about Lake Taihu. Cooperation with Chinese researchers working in Taihu.
    王 国芳:Complete my research: odour problems of drinking water.
    叶 皖紅:1. Find the reasons that caused these problems and resolve it.
    2. educate our next generation.
    盛 翼:My research area is reuse of the sewage of tillages with a series of bioreactors. It can reduce waste water into nature and support agriculture irrigation at the same time.
    項 文力:Research on the lake pollution. Follow my study field to do experiments on water lifting and O2 filling using 揚水曝気筒. This equipment perfectly finish programs about the lake.
図1.ポスター
図2.コメント

<総  括>
小グループに分けディスカッションし、ポスターにまとめるという方法は有効であると感じた。小グループの方が話しやすくコミュニケーションが取りやすい。太湖班ではどのようなポスターをまとめるという方針は事前にメンバー内で打ち合わせしており、各人とも事前の下調べはしっかりやったため、議論のための背景知識は問題なかった。しかし、グループディスカッションの段取りを事前に決めておかなかったため、ポスターをまとめるプロセスはその場で考えながらやることになった。また、当日になって中国と日本の発表の時間配分などを決めることになった。結果的にはそれなりにまとめることができたが、限られた時間を有効に使うには、プレゼンだけではなくディスカッションの段取りも事前に打ち合わせる必要がある。これは実習の事前打ち合わせが直前となってしまい、準備時間が不十分であったことも一因である。また事前の打ち合わせの段階では市民活動に対する政府の規制やメディアの役割など中国の国情に即したより深い議論なども事前には考えていたが、時間的問題もありそれほど深い議論はできなかった。そのためグループディスカッションの時間はもっと長くとれればと思う。また、プレゼン資料の作成を現地で空き時間等も継続して行ったため心身の負担となってしまった。現地の学生とのディスカッションは国際フィールド実習の主要な目的の1つと位置づけても良いのではないか。非常に小さいが現地学生と協力して1つのプロジェクトを完成させる過程で、国際的なコミュニケーションやリーダーシップを発揮することが求められる。そのためには事前の準備と現地でのディスカッション時間を十分に確保する必要がある。最後に今後のための提言を箇条書きにしておく。

  • 最低1ヶ月前には事前打ち合わせを行う
  • プレゼン資料の作成等は出発前に完了する
  • 学生とのディスカッションはPEMがリードする
  • ディスカッションのテーマを明確にする
  • ディスカッションやポスターをまとめる段取りと時間配分を決めておく
  • 受け入れ先と時間配分について打ち合わせをしておく
  • グループディスカッションの時間は十分に取る(半日程度?)
(文責:津田 真樹)

【写真】東南大学にて集合写真

 集合写真の撮影後も、会場に戻った学生らは、南京大学の学生らと活発な議論を続けていました。その後、会場を移して、交流会が開かれました。

【左写真】ディスカッション後の交流会のようす
【右写真】メモ片手にお互いの話を聞いたり、一緒に記念撮影をするなどして、和気藹々とした雰囲気の中、交流を深めていた。

 昨日は互いに緊張した面持ちだった学生らでしたが、議論を共にした後の交流会では、メモ片手にお互いの話を聞いたり、一緒に記念撮影するなどして、和気藹々とした雰囲気の中、交流を深めていました。

【写真】東南大学の学生らと記念撮影①

【写真】東南大学の学生らと記念撮影②

【学生インタビュー③】ディスカッションを終えて

◆ Japanese students are friendly and kind / Sheng Yi さん

【写真】Sheng Yiさん(写真右) (太湖グループ)

―What did you think of discussion with Japanese student?
Very interesting! They're friendly and kind, Open-mind. It's a very wonderful experience for me!

―Did you learn something new?
The culture of Japan and the difference mind between Japanese and Chinese. They're hard working,団結(←Chinese),友愛(←Chinese). And I have never saw Three Gorges Dam before, so the describing of Japanese students increased my knowledge and impressed me.

―Do you have a message for Japanese students?
Welcome to China again!

―Thank you very much.

◆ Japanese students cooperate with each other very well / Linyoug Yu さん

【写真】Linyoug Yuさん (三峡ダムグループ)

―What did you think of discussion with Japanese student?
Very happy! I'm glad to communicate with Japanese students. The topic is good.

―Did you learn something new?
I think the Japanese students cooperate with each other very well. Every group member prepare materials for the same topic.

―Do you have a message for Japanese students?
I hope they will come China again.

―Thank you very much.

◆The differences among us provided us many special methods. / Chen Mingさん

【写真】Chen Mingさん (三峡ダムグループ)

―What did you think of discussion with Japanese student?
By exchanging opinions with Japanese students, I widen my horizon and learned their attitudes about Chinese environment problems. Meanwhile, they also provided some news of contribution. The differences among us provided us many special methods of studying and thinking.

―Did you learn something new?
I learned Japanese student's idea about Chinese environment issues. They are more active and originative, which supplied us good examples.

―Do you have a message for Japanese students?
I want to learn more about Japan, which can promote the understanding and eliminate the misperception.

―Thank you very much.

◆ 価値観に違いないこと意外だった / 手塚あゆみ さん(生命科学研究科)

【写真】手前中央が手塚さん(三峡ダムグループ)

 三峡ダムは「国家の威信をかけた中国人の誇り」と聞いていたが、東南大学の学生らは三峡ダム自体を知らないようだった。三峡ダムのポジティブな側面とネガティブな側面についてお互いの考えを出し合ったが、中国人の学生たちはその両面の意見を出してくれ、議論にとても協力的だった。しかし、解決策はなかなか見つからなかった。(三峡ダムのポジティブな側面とネガティブな側面について)どちらが大切とも言えないし、部分的にはそう言えても、全体ではそう言えないこともある。
 中国人学生の環境に対する価値観は、私たち日本人学生との違いを感じなかったことが意外だった。日本で報道などから受ける中国人とのイメージとはかけ離れていた。中国に漠然と悪いイメージがありやや警戒もしていたが、それは誤解だったと思った。もちろん現地で驚くこともあったが、慣れれば「そんなものかな」と思った。むしろ普段あまり聞く機会のない環境工学の人と話すことができて勉強になった。その一方で新たに生まれた疑問としては、今回議論した学生たちの価値観は中国では一般的なのかそれとも一部なのか、それを知りたいと思った。
 議論自体は、つくった言葉ではなく、本当に楽しかった。その一方で、言葉の壁も感じた。言葉の壁がなければ、議論はもっと楽しいものになっただろう。

◆ 中国人も日本人も問題意識は同じ /早坂瞬さん(農学研究科)

【写真】早坂さん(太湖グループ)

 「太湖を綺麗にするために、自分たちは何ができるだろうか?」がディスカッションのテーマ。「太湖という環境において、最も重要だと思うステークホルダー(利害関係者)は誰か?」という問いでは、「市民が一番大切」という意見が中国人も日本人も多く、環境に対する問題意識は意外と同じなのだと思った。社会システムは違っても、やはり人は人。中国人も日本人も、普段の生活では同じように感じるのだなと納得した。
 もし中国人と日本人で違いがあるとすれば、それを解決するためのプロセスが違うのかもしれないと感じた。ステークホルダーに「農民」を挙げた人は双方にいたが、中国人は税金免除など政府側の補償を期待する意見が多かったのに対し、日本人は個人単位の農業ではなくグループ農業のような助け合いをする方法などを挙げていた。この違いは社会システムというより、もっと根本にある主義や思想、民族性の違いによるものかもしれない。
 ただ、お互いに言葉の壁があり、ディスカッションでは自分の言いたいことがなかなか伝わらなかったことがとても残念だった。

◆ 問題意識の共有が解決への第一歩 /平瀬祥太郎さん(農学研究科)

【写真】平瀬さん(太湖グループ)

 中国人学生と中国の環境問題について意識を共有できたことが良かった。中国の人は自国の環境問題について深刻に考えているが、彼らは「経済成長のフェーズが日本と中国では違う。我々は発展途上だから、しんどい問題だ」と言っていたし、僕もそうだと思った。
 その状況を知った上で、(一度壊した環境は)もとに戻すことが難しいことも僕らは知っている。だからこそお互いの国の人のことを考えて問題意識を共有することが、環境問題を解決するための第一歩だと思う。そうでないと何も始まらないし、否定するために僕らは来たのではない。環境問題を真剣に考えているのに、それでお互いの仲が悪くなったら嫌だと思う。
 個人的な感想としては、大学4年生の頃、中国に来た時よりもコミュニケーションをとれるようになったと感じた。今回は日本を代表してお金をもらって来ているし、僕らが日本の顔になる。その自覚があるせいかもしれない。

4.「太湖」周辺施設見学、日本企業の環境事業活動など

【写真】「中国環境科学研究院太湖研究基地」前で記念撮影

 20日(月)、東南大学のゲストハウスを早朝に出発した一行は、江蘇省と浙江省の境に位置する中国で3番目に大きい淡水湖「太湖」周辺施設を見学するために、江蘇省南部の無錫市へ移動しました。

 太湖では、湖周辺の経済発展に伴って水質汚染や富栄養化が深刻な問題となっており、湖沼生態系は壊滅的な打撃を受けています。

 富栄養化、藍藻の大発生(アオコ)は世界各国に共通する課題であり、さらに地球温暖化、水温上昇が富栄養化を助長する可能性があります。

 現地では引き続き、水処理と水環境修復がご専門で東南大学教授の李先寧さんにご案内いただき、まずは浄化槽など廃水処理装置を生産する会社「Yixing Yaohua Environmental Protection Equipment Co.,Ltd」の工場を見学。続いて、李さんが太湖の湖岸生態修復などを担当している国の実験設備「中国環境科学研究院太湖研究基地」を訪問しました。

【写真】浄化槽など廃水処理装置を生産する会社の工場を見学。浄化槽は、日本のように繊維強化プラスチック(FRP)製ではなく、コストの安い鉄製が多かった。

【写真】かつて日本式が売れた傾斜管沈降装置

【写真】質問に答える李先寧さん(写真右)


【写真】工場見学後は、中国環境科学研究院太湖研究基地を李さんの案内で訪ねた。

【写真】中国環境科学研究院は、中国中央政府の環境・省エネ担当部局である中国環境保護部の直轄事業部門。ここでは太湖富栄養化に関する数々の重要課題研究が行われている。

【写真】李さん(左写真)の解説を真剣な面持ちで聞く学生ら(右写真)

 太湖の湖岸生態修復などについて研究内容を紹介した李さんは、「太湖周辺は、工業的にも農業的にも中国政府の"財布"。ところが、太湖の富栄養化によって水が使えなくなってしまった。このことに中国政府は強い危機感を覚えており、様々な対策を講じている」と話していました。

 李さんの説明を聞いた学生は、「魚を放流し太湖のアオコを食べさせる方法や、長江から水を引いて太湖の水を希釈する方法は、現在も行っているのですか」「水質改善対策のために投じられた生物や水が、生態系に与える影響を予めどのように考えていますか」などと質問をしていました。

 それに対し李さんは、「魚を放流してアオコを食べさせる方法は、5年前に流行ったテクノロジー。しかし魚の肝臓がやられて食べ物にならないので、今はあまり行われていない」「長江から太湖に水を引く方法は効果的で、太湖の水質が最も悪い時に行っている」などと答えていました。

 続いて一行は、太湖地域の農村部における、人工湿地を用いた生活汚水処理施設を見学しました。農村部における生活汚水処理率は現在10%程度ですが、五カ年で60%まで引き上げる目標とのことです。

【写真】太湖地域の農村部にある、人工湿地を用いた生活汚水処理施設の外観

【写真】人工湿地を用いた生活汚水処理施設について、李さんから解説を受ける一行

【写真】この町は製陶業が盛ん。陶器をつくる時に型として使用した石膏(廃材)がろ材として再利用されていた。課題だったリンの除去率がこれにより大幅に向上したと言う。

 その夜、一行は李さんらと一緒に太湖のディナークルーズを楽しみました。料理のほとんどに「太湖名物」と言われる様々な魚などが入っていました。

【写真】夜の太湖
【写真】太湖クルーズから眺めた夜景

【写真】太湖ディナークルーズ。太湖名物と言う魚は小さいものから大きいものまで様々。

 最終日の21日(火)は、早朝に無錫を出発し、一行は新幹線で上海へ向かいました。上海では上海大学を訪問し、水処理を微生物学的に研究している丁国際さんに、研究内容や同大学について紹介していただきました。

 続いて、三菱総合材料管理(上海)会社部長の柴田耕作さんが「三菱マテリアルの中国での環境事業活動について」と題して講演。日本での環境に対する同社の取組みや、中国の現状と中国での取組みについてお話いただきました。

 一行はその夜、上海に宿泊し、22日(水)、無事に日本へ帰国しました。

【写真(左)】無錫と上海を結ぶ新幹線
【写真(右)】上海大学を訪問。広大な敷地と立派な施設に学生らは驚いた様子だった。

【写真】上海大学にて。電子パネルには「熱烈歓迎 日本東北大学西村修教授 来我院訪問」

【写真】研究室訪問。丁国際さんは上水道から検出される線虫について研究している。

【写真】丁国際さんによる上海大学の紹介
【写真】プレゼンテーションを聞く学生ら

【写真】三菱総合材料管理(上海)会社の部長の柴田耕作さんによる講演「三菱マテリアルの中国での環境事業活動について」のようす

【インタビュー④】中国での国際フィールド実習を終えて

◆ 現場でなければわからないことたくさん / 手塚あゆみさん(生命科学研究科)

【写真】手塚さん

 自分は中国を誤解していたと思う。中国に対して自分はこれまで切り取られた情報だけを見ていたのだなと感じた。日本にいる時は中国に対して違和感があったが、中国では、皆にとても親切にしていただき、中国の良い面も見ることができたと思う。将来の働く先の一つに海外も考えており、これまで中国は選択肢に入っていなかったが、中国もおもしろそう。今回の実習を通じて、中国に限らず、どの国に行ってもおもしろみがありそうだと想像できるようになった。
 日本にいる時の情報だけでは、自分は知らず知らずのうちに、これ程まで視点が偏ってしまうことに驚いた。自分自身で実際に現場に行ってみることは、とても大切なことだ。例えば、三峡ダムは観光地だったし、大量のゴミの前で記念撮影もした。太湖ではナイトクルーズもした。事前にいろいろと調べてきたのに、現場に行ってみなければわからないこともたくさんあることがわかった。大切なことは、現場の人と話すことだ。
 中国の環境問題は非常に深刻だと思ったが、一方で、中国人学生は三峡ダムを知らず、皆そこまで環境問題に関心がないように思えた。しかし良く考えて見れば、それは日本でも同じではなかろうか。日本でも「生物多様性」について話すと「それ何ですか?」と皆に聞かれる。皆エコバックは気にしているが、それがその先どうなるかまではあまり考えていない。環境問題は深刻だが、その中にいる人はそこまで考えておらず、それでいて「何かやらなきゃいけない」意識はある。スケールの違いはあるものの、日本と中国ではあまり違いがないように思えた。
 自分の研究の関連で言えば、自分の研究フィールドには、共同研究者がサンプリングを担当している関係で、実は一度も行ったことがない。しかし、現場に行くのと行かないのでは、やはり研究のやり方なども変わってくるだろうなと感じた。自分の研究フィールドにぜひ行ってみようと思った。

◆ 環境問題と専門分野のつながり感じた / 李尚龍さん(生命科学研究科)

【写真】李さん

 環境を壊すことは簡単だが、壊れた環境をもどすことはとても大変なことだと感じた。三峡ダムでは、ダムの水にゴミがたくさん集まっていた。皆が何も考えずに捨てたものだ。捨てる人もいれば拾う人もいる。しかし捨てる人がいなければ、本当は必要のないことだ。環境問題は人間と環境の関係。だから市民の意識は一番大切で、市民の意識が変わらなければいけない。しかし、それは本当に難しいことだと感じた。
 法律やルールをつくるのは簡単だが、守る人がいなければ意味がない。そして、市民の環境に対する意識の違いが、先進国と発展途上国の違いだと思う。やはり貧しい人は環境への意識を持つことが難しい。自分の生活が一番のため、環境問題は大切でないからだ。一方で、先進国はお金のことがあまり心配なので、ほかのことも考えられる余裕がある。
 祖国・韓国の現状は、未だお金(経済成長)が重要だという価値観。しかし2002年から国家プロジェクトとして、経済と環境の両立を打ち出したことで、環境に対する政策や研究が始まり、環境に対する関心が高まりつつある。けれども韓国は遅れていると思う。環境問題はお金に関係していないので、優先順位が低いためだ。
 本実習を通じて、専門分野以外の環境問題に興味が湧き、専門とのつながりを感じた。自分は植物分類学の専門だが、新しい植物を発見したり、サインをつけたりする専門の研究以外のことも、これから考える必要があると感じた。例えば、人工湿地を用いた水質改善法では、どんな種類の植物が良いのだろうと考えた。目的の微生物が集まりやすいような植物の種類を研究できれば、もっと効率が良くなるかもしれない。また、自分は理論家だが、環境問題に直接的に貢献できそうな実際の現場を見ることができておもしろかった。
 環境問題に対しても、いろいろな知識を持っていることが必要だし、持っていなければ恥ずかしいと感じた。これから研究者として、環境問題に貢献することもできるかもしれない。多様な知識を吸収して、博士号取得後は研究者として、環境問題に貢献できるような研究もしたいと改めて思った。

◆ 大きな刺激で視野広がった /高野成央さん(生命科学研究科)

【写真】高野さん

 三峡ダムに対しては日本人学生内でも賛否両論あり、議論する前までは自分たちの意見が中国人学生らにどのように受け入れられるか全く見当もつかなかった。けれども中国の学生らは僕らの意見を受け入れ、中立的に議論してくれた。中国人内でも「中国の発展のために多少の犠牲は仕方ない」「環境破壊は問題だ」と意見が分かれた。意見が分かれたのは日本人でも同じ。僕らが考えていることが伝わったことが嬉しかったし、仲良くなれて本当に良かった。一言で言えば、すごく楽しかった。結論まで辿りつかなかったのは残念だったが、中国人学生の三峡ダムに対する考え方がわかった気がした。
 正直に言うと、中国に来るまで、中国に対して良いイメージはなかった。けれども中国では皆、本当に親切にしてくれて、とてもありがたかった。これから会った中国人に、それを返していかなければならないなと思った。
 また、英語をもっと流暢に喋れたら、もっと楽しかっただろうと普段よりも強く感じた。ディティールをもっと議論できたら、もっと相手も本音を言ってくれ、もっと良い話ができたと思う。そう実感できたことが、今回大きいのだと思う。仮に言葉の壁がなければ、中国のあり方や彼らが描く将来像を、若い彼らに聞きたかった。
 本実習を通じて、中国に対するイメージが大きく変わり、中国への興味が湧いた。そして、日本がこれまで辿ってきたであろう道を、大規模な形で、中国で見ることができた。普段は研究室の中におり、どうしても腰が重くなりがちだが、本実習を通じて、知らないことを知り、考え方のひとつが変わった。もっともっと広い目で見ることができるようになったと思う。もちろん頭ではそうやってきたつもりだったが、今思えば、やっていなかったに等しい。そう思えるものを中国という国から感じ、大きな刺激があった実習だった。

◆ 持続可能なアプローチは金ではなく人 / Hernando Bacosaさん(環境科学研究科)

【写真】ヘルナンドさん

 環境問題に対する対策には様々なアプローチがあり、例えば工学的なアプローチはお金をかけることで早くて効果的だが、お金がなくなればストップしてしまう。一方で、市民参加は(効果が出るまでに)時間はかかるが、行動や習慣の変化につながるため、お金がなくても、持続可能なアプローチだと思う。政府と市民、それぞれに役割があるはずで、どちらも大切だ。
 東南大学の学生らとのディスカッションでは、日本人も中国人も「市民参加が一番大切」との考えだった。環境問題の解決は、政府や法律、企業だけでなく、市民参加をより促すことが重要だと思う。しかし中国では、NGOやNPOなどの市民活動が政府によって厳しく抑制されている上に、中国人学生の中には「環境問題の解決は、政府がやるのが一番だ」という意見もあった。中国ではそのように考えている人も多いのが現状ではなかろうか。
 とは言え、今回のディスカッションで学んだことは、国際交流が環境問題に対する重要なアプローチになるということ。例えば、アジアの学生同士、技術や経験を持つ先進国とこれから発展する国とで、意見交換する機会がもっとあれば良い。交流すれば「そうなんだ」と納得できることも、交流しなければ差別が生まれる。学生の時はこれまでの歴史もあまり関係なく交流ができるし、後々偉くなった時にまた交流できる。
 このPEMプログラムに参加することによって、専門以外の経験をすることができ、環境に対する深い興味が湧いた。自国の環境を守るため、祖国であるフィリピンに何ができるのだろうと常々思いながら、いろいろなものを見ることができた。東南アジアなど、これから発展する国の学生たちにも、是非PEMへの参加を勧めたい。

◆ 問題の難しさ改めて認識 / 尾﨑洋史さん(生命科学研究科)

【写真】尾﨑さん

 実際に三峡ダムを見学することができて良かった。三峡ダムについて事前にいろいろ調べて頭では知っていたが、環境に良いか悪いかは別にして、そのスケールに圧倒された。そして、人間が快適に過ごすうえで、治水・利水という利を得るためには多少の環境破壊も仕方ないとも感じた。中国人だって環境を破壊しようと思って環境を破壊しているわけではない。環境のことを考えていないわけではないことは、評価すべきポイントだと思う。
 日本のダムだって昔、全く環境のことを考えていない時もあっただろう。環境破壊は、フェーズとして通過儀礼のようなもの。むしろ、チョウザメ研究所やカワイルカ保護区等の取組みは、日本が辿った道よりもマシなのではとさえ感じた。
 日本のレベルで中国を考えても仕方ない。相手の中で最善を尽くしているなら、それで良いのではないか。貧富の差や教育制度など、中国と日本の違いを考えるときりがなく、日本と比較しても仕方ない。とは言え、愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。他の国で失敗している例も学んだ方が良いのではないかとも思う。今回の実習を通じて、やはり難しい問題だと改めて認識した。

◆ リーダーシップを意識したことが収穫 / 津田真樹さん(生命科学研究科)

【写真】津田さん

 東南大学との学生らとのディスカッションで、オーガナイザー役としてグループワークをリードしたことが今回、最も勉強になった。グループワークは、多様な人との交わりの中で新しいものが生まれる思考をテンポ良く進める手法。これまでPEMで学んだことを、見様見真似で行った。その中で、リーダーというものを意識したことが一番の収穫だった。リーダーの言葉通り、能力よりも、「前に進もう」という意志を持っているかどうかが大切なのだと思う。

◆英語のコミュニケーションに自信 / 荒井重行さん(工学研究科、三菱マテリアル株式会社)

【写真】荒井さん

 国際フィールド実習での東南大学学生とのディスカッションをはじめ、本GCOEでは、国際学会での発表など、英語によるコミュニケーションの機会を数多くいただいた。これからは会社でも英語によるコミュニケーションが求められる。以前は、英語が苦手で外国人から逃げていたけれども、拙くても、外国人と向き合って話ができるようになれたことから、将来、国際的な場に立っても、なんとかできるという自信につながったと思う.

◆ 百聞は一見に如かず /坂本裕紀さん(生命科学研究科)

【写真】坂本さん

 本実習を通じて最も実感したことは、直接見たり聞いたりすることに勝る勉強はない、ということ。もちろん事前に勉強することも重要だが、現地の人の話を聞くことも重要。どちらも重要で、どちらかが欠けても駄目だと感じた。インターネット等はもちろん利用はするし、情報は簡単に手に入る。しかし、それで知ったつもりになっていたと痛感した。フラットな視点を心がけてきたはずなのに、気づかぬうちにフィルターがかかっていた。
 中国は「すごい」、と目で見て肌身で感じた。とにかくすごい、でかい、これから伸びる。中国の一挙手一投足、国際的な注目を集めるようになるだろう。同時に深刻な問題も抱えている。中国への興味は、これまで以上に湧いた。
 中国経済がものすごいスピードで成長する一方で、日本経済は衰退を始めてきている。そのうち中国は発言力を強めてアジア1位となるだろう。中国から強い負の要求をされたとき、果たして日本はNOと言えるのだろうか。これまでの日本は経済大国だったから、発言が下手でも大目に見てもらえた。けれども、日本がこれから経済に強くこだわるのは難しい。これまでとは別の戦略で国際的な立ち位置を強くつくっていかなければならない。
 中国に経済成長では抜かれたものの、日本はアジアの中で唯一長老的な立場ではないか。成長しそれなりの立場を経て衰退を始めている日本だからこそ言えることがあると思う。中国と同じように張り合うのではなく、お金はなくても皆に尊敬されるような、国際的な立ち位置で発言権を強めるしかない。要求することは要求してNOはNOと言うだけの立ち位置をつくると同時に、やはりお互いの国への尊敬がないと駄目だと今回強く思った。やっぱり人と人とのつながりで、人があっての国だから。
 これから研究者を志すにあたり、世の中の動きを研究分野に関わらず、もっと見ていく必要がある。中国に限らず、そこでしか感じられないものがあるにせよ、もっと視野を広げていかなければならないと感じた。本実習前までは正直、専門外で面倒くさいと思っていたが、実際に来てみたら、環境問題だけでなく政治や経済など幅広くおもしろかったし、日本と関係なくはなかった。単に知識として知っているだけでなく、実感としてつながっていることに憧れる。多少はバランスのとれた見方もできるようになったと感じている。

◆ これからの自分の生き方は / 木村幹子さん(生命科学研究科)

【写真】木村さん

 中国はこれから発展する強みを活かし、(環境を破壊した)昔の日本と同じ道を辿らずに発展できる良い方法はないのだろうか、というのが自分のテーマだった。本実習では中国の国家プロジェクトなどを多く見てきたが、中国も起きている問題に対しては国家レベルで先を見据え、良く考えているのだなと感じた。
 このように来る前には見えなかったところが見えたところもあるが、一方で農村部など、見えていないところがあることにも気が付いた。実際に見てみなければわからないことを痛感したからこそ、もっと見てみたかったという思いが強い。今回はオーガナイズしてもらったが、自分で何かしようと思った時は自ら計画を立てて行かなければならないだろう。このほか政治も見てみたい。本実習を通じて、それらの事柄についても興味が湧いた。
 これまで研究者として、学術的な真理を目指そうとする一方で、この研究が実際に世の中を動かす力になるのか常に疑問に感じながら研究をしてきた。純粋科学として最先端を目指す道だけでなく、農業や環境工学、あるいは起業などの道もある。どちらも重要だが、自分のモチベーションや性格を考えると、現場で起こっている問題を考えて行動していくことの方が、自分の生き方としては向いているのではないかと最近思い始めていた。今回の実習を通じて、そのような思いがとても強くなった。

※早坂さんと平瀬さんのインタビューはこちら(早坂さんインタビュー平瀬さんインタビュー)をご覧ください。

◆ 互いに尊敬の念持つこと前提/西村修さん(工学研究科教授、本実習コーディネーター)

【写真】西村さん

 中国人も日本人も同じ人間。日本と中国、先進国と発展途上国という関係でなく、人間と人間の交流が大切だ。相手のことを理解すると興味が湧き、自分のことも理解してもらいたくなる。お互いに尊敬の念を持つことが大切だ。
 共同研究をする時も、あるいは環境問題などグローバルな問題を議論する時も、お互いに尊敬の念を持っていなければ、一緒にやることはできない。逆に言えば、その後のことはやろうと思えばいくらでもやれる。そう簡単に意見は合わないもの。日本人同士でさえそうなのだから、考え方や文化、伝統が違えば尚更だ。今回の実習では、学問的なところは少ないものの、そのようなことを学生の皆さんには一番伝えたい。
 嫌いなものは大切にできない。しかし好きになれば大切にできる。これは、環境保護や生物多様性の考え方にもつながる。考え方やルール、習慣の違いをお互い理解していれば、あまり腹も立たない。それは、まさに多様性を認めるということだ。
 経済発展は人のため。しかしながら、経済発展が未来永劫続くわけではない。おそらく経済発展のために何か新しい問題が起こるだろう。これから中国は、世界に強いインパクトを与える、特に大切な国になる。経済は競争だが、環境はそうではない。その時に日本が手伝ってあげることができれば、中国と良い関係を築くことができるだろう。
 地球規模の環境問題では、日本が果たす役割も大きいと思う。環境を大切にしてきた日本独自のDNAを発揮し、学生の皆さんには地球レベルでものを考えることを期待している。また今回の実習は、いろいろな先生方との関係で成り立っている。次の時代を担う学生の皆さんには、そのまた次の世代にそれをお返ししてほしい。将来像を描きづらい今、次の世代を意識し、その次の世代が生態サービスを享受できるよう、リーダーとして将来像をイメージしながら、激変する環境に対応できる人間になってもらいたい。

◆研究とのつながり実感持って/中静透さん(生命科学研究科教授、本GCOE拠点リーダー)

【写真】写真左が中静さん

 国際フィールド実習の目的は3つ。一つ目は、現場でものを見ること。二つ目は、いろいろな立場の人の話を聞くこと。三つ目はそれらを問題解決していくこと。普段の研究生活では、そのようなことと接する機会が少ないため、それらを感じて、自分がやっている研究がどのようなことに結びつくのか、学生らには本実習を通じて実感を持ってほしい。このような本実習の目的を参加者が良く理解してくれていて嬉しく思った。

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