『生態適応科学』

自然のしくみを活かし、持続可能な未来を拓く

【 概 要 】

私たちは、生物や生態系に対して様々に手を加えることで、豊かな社会を実現してきた。例えば農業や林業では、好ましい性質を持つ種や品種を選抜して用いている。さらに、大規模に農地を造成する、潅がいや治水のために多くのダムを建設するなど、しばしば生態系を大きく変えてきた。つまり、これまでの現代社会は、あらゆる問題をいわば「力技」で克服してきたと言える。しかし一方で、このような克服型技術は、地球規模で様々な問題を引き起こしている。本書は、生物システムや生態系が本来持っている「適応力」を活かすことで、従来の克服型技術が抱える問題を解決し、持続可能な未来を目指す新しい学問領域として、生態適応科学(Ecosystem Adaptability Science)を提案する。生態適応科学では、(1)適応力のメカニズムを解明する基礎研究、(2)その適応力を様々な産業や生態系管理に役立てようとする適応型技術の開発、(3)適応型技術の導入に向けた社会経済システムの構築の3つのアプローチを一体となって進めることで、持続可能な社会の実現を目指している。本書は、こうした方向性で生態適応科学の体系化を試みたものである。

【 本書の特徴 】

本書は、大学学部生レベルを対象に書かれています。一部専門的な内容を含んでいますが、一般の方にも読んでいただけるように、巻末に用語集を設けました。 出来るだけ多くの方に読んでいただけるように、無料としました。また、PDF版とePub版の両方を用意しました。


000003629
000001675
000001596
正誤表(pdf)

ePub版電子書籍を読む方法

iPad,iPhoneで読む

  1. ePubのコンテンツダウンロード後,「iBooksで開く」「他のソフトウェアで開く」を選択するダイアログが表示されるので、「iBooksで開く」を選択する。
  2. iBookstoreからダウンロードする。
  3. 日経BPストアからダウンロードする。

Androidで読む

  1. AndroidマーケットなどからePubリーダーソフトをダウンロード/インストールする。
  2. 日経BPストアからダウンロードする。

PC(MAC OS X, Windows, Linux)で読む

  1. Calibre ebook managementをダウンロード/インストールする。
    http://calibre-ebook.com
  2. FirefoxアドオンのEPUBReaderを使用する
    http://www.epubread.com/en/

【 目 次 】

  • まえがき
  • 序章 生態適応科学とは 〜克服から適応へ〜
  • 第I部 生態適応科学の基礎
    • 第1章 生態系の適応力
      • ❶-① はじめに
      • ❶-② 生物多様性と生態系機能
      • ❶-③ 生態系のレジリエンス
      • ❶-④ 生態系機能および生態系サービスの保全と持続的利用
  • 第Ⅱ部 適応型技術の必要性
    • 第2章 海洋資源の保全と利用における適応型技術の現状
      • ❷-① 海洋資源の利用における問題点
      • ❷-② 縮小する沿岸自然環境の保全・修復技術
      • ❷-③ 持続的生産に向けた天然水産資源の管理技術
      • ❷-④ 環境負荷低減型の養殖生産技術
      • ❷-⑤ さいごに
    • 第3章 持続可能な農業に向けた適応型技術の可能性
      • ❸-① はじめに
      • ❸-② 病害と作物品種の多様性
      • ❸-③ 害虫被害・花粉媒介と景観の管理
      • ❸-④ 栄養塩循環の回復
      • ❸-⑤ 気候変動下における作物生産
      • ❸-⑥ さいごに
    • 第4章 持続的な森林資源利用に向けた適応型技術
      • ❹-① はじめに
      • ❹-② 樹木の多様性と空間構造を活かした人工林管理
      • ❹-③ 熱帯天然林の伐採をめぐる問題とその解決策
      • ❹-④ 気候変動をめぐる将来の問題とその解決策
      • ❹-⑤ まとめ
    • 第5章 防疫における適応型技術の可能性
      • ❺-① 生物個体レベルでの防疫管理
      • ❺-② 生物集団レベルでの防疫管理
      • ❺-③ 生態系や生物多様性の特性を活かした感染症防除
    • 第6章 都市における適応型技術
      • ❻-① はじめに
      • ❻-② 都市生態系による調節サービス
      • ❻-③ 生態適応を基礎とした美しく豊かな地域の創造
      • ❻-④ さいごに
  • 第Ⅲ部 生態適応科学と社会
    • 第7章 生態適応科学と社会制度
      • ❼-① 社会制度の視点
      • ❼-② コースの定理とPES
      • ❼-③ コモンズによる共有資源管理
      • ❼-④ 公的機関と国際協調の役割と限界
      • ❼-⑤ 適応型技術の実装に向けた社会制度の深化
    • 第8章 生態適応科学における経済評価
      • ❽-① 生態系サービスの価値評価に向けて
      • ❽-② 農地・林地・海洋における生態系サービスの評価
      • ❽-③ 包括的な経済評価システムの経緯とその問題点
      • ❽-④ 不確実性の取り扱い
    • 第9章 生態適応科学と人間の行動特性
      • ❾-① はじめに
      • ❾-② 人間の行動特性
      • ❾-③ 行動特性を活かした社会制度づくりに向けて
  • 用語解説
  • あとがき
  • 執筆者一覧
本書に関するご意見、ご感想、お問い合わせは、以下までお寄せください。
河田雅圭
東北大学大学院生命科学研究科 生態適応グローバルCOE
e-mail: kawata@m.tohoku.ac.jp